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無人ヘリで社有林の森林資源を可視化
王子ホールディングスがヤマハなどと実証
[三友新聞 2025年10月23日号 より]
王子ホールディングス(磯野裕之社長)は、ヤマハ発動機、信州大学発ベンチャーの精密林業計測と、王子グループの国内社有林においてリモートセンシングを活用した森林情報の取得と解析に関する共同実証を始めた。王子の国内社有林でヤマハの産業用無人ヘリコプターを使い広域レーザー計測を実施、得られた森林情報を精密林業計測が解析する。
ヤマハの産業用無人ヘリ
林業現場では人手不足や高齢化、安全性の確保などの課題を抱える。中でも森林情報の取得は現地調査に多くの時間と人手を要し、広範囲かつ詳細なデータの収集が難しいことから、従来の技術では難しかった単木単位の詳細な森林情報の取得でのDX活用を図る。
既に岐阜県高山市の社有林で実証実験を行い、樹種・樹高・直径・材積・位置情報などを一括で可視化することに成功。地形や水系に応じた樹種分布、直径が大きい「大径木」の効率的な抽出が確認され、森林整備や資源管理の精度向上が期待されるという。併せてコナラやクリなど野生動物の餌となる堅果類の分布も把握できたことから、生態系や野生動物管理にも寄与する。
王子は国内に18.8万haの社有林を持つ。同社では今後も社有林の森林情報を蓄積し、森林管理の高度化と森林の多面的機能のモニタリングを進めるとしている。
実証実験で得られた森林資源情報