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三井住友建設が精密衝撃破砕工法
解体難度の高い「合成桁」に初適用

三友新聞 2024年1月18日号 より]

三井住友建設(近藤重敏社長)は、コンクリート構造物の効率的な解体を目的に開発した精密衝撃破砕工法「SMartD」を、現在施工中の名神高速道路長良川橋における床版取替工事で初めて適用した。鋼と鉄筋コンクリートを一体化させている「合成桁」について、困難だった鋼桁と床版の分離に効果を発揮する。

コンクリートの破砕は一般的に、超高圧水を使うウォータージェット工法や人力による「はつり」(削る、壊すなどの総称)が行われているが、「馬蹄型ジベル」という馬蹄形状の金属部材を使用して鋼桁とコンクリートと一体化させている合成桁では分離が難しかった。これに対し、三井住友建設は東京大学大学院新領域創成科学研究科の上西幸司教授の指導の下で研究を進め、「SMartD」を開発。ジベル周辺に到達するようにコンクリートに穴を開けて装薬し、瞬間的な膨張による小規模な衝撃を与えることで、金属であるジベルとコンクリートの力の伝わり方の違いを利用し破砕面を形成する。

研究段階では、ジベル周辺のコンクリートを集中的に破砕するための装薬配置を設計し、破砕効果や鋼桁への影響を数値シミュレーションや模擬破砕実験等で確認。今回、実際の適用時にも長時間の騒音や破砕コンクリート片の飛散が発生せず、鋼桁への影響もないことが確認された。

コンクリートと分離した馬蹄型ジベル付き鋼桁

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