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世界初の「レアアースレス」実現
東レが高耐久性ジルコニアボール開発

三友新聞 2023年4月27日号 より]

東レ(日覺昭廣社長)は世界で初めて、レアアースレスを実現する高耐久性ジルコニアボールの量産技術を開発した。年度内の量産化を目指す。

ジルコニアボールは、主に材料を粉末状にするための分散や破砕、表面研磨などに利用される粉末状のセラミック。東レではジルコニアボールを構成する一部組成を再設計することで、表面状態の結晶構造劣化を最小限に抑え、耐久性を大幅に向上させた量産技術の開発に成功した。また一般的な製品では組成の一部にレアアースのイットリアが採用されているが、開発品は産出国が限定されない非レアアースの素材を採用し、原材料の調達不安も解消できる。

同技術で作製したジルコニアボールをMLCC(積層セラミックコンデンサー)用セラミックス材料やLIB(リチウムイオンバッテリー)用電極材料の粉砕・解砕に用いることで、各種製品の信頼性・供給安定性向上に貢献すると共に、ボール交換頻度の低減により製造コストダウンに寄与する。

さらに組成の再設計により、ジルコニアボール生産における焼結工程での処理温度を下げることもでき、CO₂排出量削減にもつながるという。

東レでは年度内に量産化を図るほか、高耐久性を活かして表面を再研磨することでリサイクル利用も検討していく考え。

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