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「揺動制震システム」を実物件に初適用
三井住友建設、ダンパー減でも性能向上

三友新聞 2022年10月6日号 より]

三井住友建設(近藤重敏社長)は、地震発生時における多層階での揺れを一括して制御する「揺動制震システム」を、現在建設中の自社寮に初めて適用した。多層階の水平変形を1カ所に集約して制御する機能により、少ない制震ダンパー数で制震性能を向上させ、地震後の継続使用・早期復旧を実現する。

実物件に初適用された「揺動制震システム」

揺動制震システムは、建物の多層階に渡って架設する「タイロッド部」と、下から支えて地震時の揺れを吸収する「制震ダンパー部」、制震ダンパーを安定して作動させる「揺動機構部」の3つで構成される。タイロッド部が架け渡された多層階の水平方向への変形を揺動機構部に集約し、揺動機構部のシーソーの様な仕組みで上下方向の動きに変換して制震ダンパー部に伝え、建物の揺れを制御する。

「揺動制震システム」の動作イメージ

揺動制震システムの採用により、従来の制震構造と比較して少ない制震ダンパー数で効果的に揺れを制御できるため、コストダウンを図ることができる。また、設置するシステム数が少なく済み、多層階に架け渡す部材は細いタイロッドのみのため、外観や採光への影響は限定的となる。新築だけでなく既存建物の耐震改修にも適用でき、少ない施工範囲と工事期間の短縮を実現させる。

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