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三井家別荘の古材を保育園に再利用
ステンドグラスなど当時の一級品を今に繋ぐ

三友新聞 2021年7月29日号 より]

神奈川県大磯町で2003年に解体された旧三井家別荘の古材がこのほど、町内の保育園「もあな・こびとのこや」の建材に再利用された。ステンドグラスや建具など当時の一級品が使用されており、町の歴史を受け継ぐ文化事業としても注目を集めている。

三井家古材が再利用された「もあな・こびとのこや」

別荘は三井11家のうち、永坂町家8代当主・三井高泰(守之助)が建てたもの。高泰は明治39年(1906)に大磯の北本町に土地を購入。別荘を建てたが、関東大震災で倒壊し、昭和2年(1927)に再建された。外観は洋館、内装は和室の和洋折衷様式で、高台から海を望む八角形の「ベイウィンドウ」など瀟洒な設えを施した。

八角形のベイウィンドウを特徴とした往時の別荘

マンション開発に伴い、2003年に別荘の解体が決定。大磯町の文化財を保護する「大磯遺産保存会」が開発業者に働きかけ建物の無償譲渡が実現し、建物のおよそ4分の1の部材が解体・保存された。

今回、保育園に使用されたのはステンドグラスや障子などの建具、ドアなど。色鮮やかなステンドグラスには動植物が描かれている。障子の建具はパーテーション代わりに。紙張りではなく、現代風に強度を増した素材を使用した。園の看板も古材を使用。木材を接合するための「組み継ぎ」の跡がはっきりと見える。

動植物が描かれたステンドグラス

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