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三井E&S最後の自社建造船が引渡し完了
ファブレス化へ転機、設計開発力活かす

三友新聞 2021年7月29日号 より]

三井E&S造船(船津勇社長)はこのほど、岡山県玉野市の玉野艦船工場で水産庁向け漁業取締船「白萩丸」とばら積み貨物運搬船「ジャル カルパタル」を引き渡した。それぞれ三井E&S造船の建造船として最後の官公庁船、最後の商船となる。

白萩丸は1994年建造の現・白萩丸の代替船として、日本近海の違法操業漁船を取り締まる任務に就く。現行船より大型化し、全長約68m、幅約11m、最大搭載人員31人で、長距離音響発生装置など取締りに関する最新設備を搭載した。

ジャル カルパタルは三井E&S造船の環境対応・低燃費船で、全長約200m、幅36m、最大搭載人員25人。石炭、鉄鉱石、小麦、大麦、大豆など多様なばら積み貨物に対応する。

白萩丸

ジャル カルパタル

三井E&S造船の艦船・官公庁船事業は今年10月に三菱重工業に譲渡される。玉野艦船工場の土地・建物は引き続き三井E&S造船が所有するが、三菱重工の新会社に貸し出されるため、三井E&S造船が船を建造することはなくなる。

また、10月には常石造船が三井E&S造船株式を49%取得し、資本提携を結ぶ。今後の造船事業では同社との連携や、三井物産、中国・揚子江船業の3社で設立した江蘇揚子三井造船での建造を視野に、強みの設計開発力を活かしたファブレス(工場の非所有)事業としての展開を図る。

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