会員会社ニュース

全固体電池材料の生産能力増強へ
三井金属が量産設備に追加投資

三友新聞 2024年2月8日号 より]

三井金属(納武士社長)は、全固体電池向けの材料として開発した固体電解質「A-SOLiD」の量産試験用設備について、第2次生産能力増強投資を決定した。自動車メーカーを中心に全固体電池の開発競争が加速する中、サンプル供給体制を強化し、全固体電池の社会実装への貢献を図る。

全固体電池は、電池内部でイオンを伝える役割を担う「電解質」を液体ではなく固体に変えた次世代電池。現在主流のリチウムイオン二次電池に対し、「発火の危険性が小さい」「温度変化に強い」「急速充放電に適している」などの特徴を持つが、充放電を繰り返した際の電極と電解質の接合維持が難しいといった課題がある。

三井金属は全固体電池向けの固体電解質として、有機電解液と同等水準の高いリチウムイオン電導性を有し電気化学的にも安定な「アルジロダイト型硫化物固体電解質」を開発し、2021年11月に「A-SOLiD」と名付けてサンプル供給を開始した。A-SOLiDはすでに、マクセルによって製品化された小型の全固体電池に採用されている。

A-SOLiDの具体的な生産能力は非公表だが、昨年2月には当初の生産能力から倍増させる第1次生産能力増強を発表しており、今年3月に完了する予定。今回の発表はその完成を前にした第2次増強計画であり、完成後の生産能力は当初から3倍程度となる見込み。EV用途の全固体電池開発加速を視野に、量と質両面の向上を図る。

他の記事も読む