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三機工業が下水処理の省電力化に貢献
「MABR」の販売契約締結

三友新聞 2024年2月8日号 より]

三機工業(石田博一社長)は、米化学大手・デュポンのグループ会社であるアイルランドのOxyMem(オキシメム社)と、水処理装置「MABR」の日本における公共下水市場を対象とした独占販売契約を締結した。曝気(気泡の生成と攪拌)が不要など効率運用に資する装置を展開し、電力消費量の削減を課題としていた下水処理施設の省電力化ニーズに応える。

MABR(Membrane Aerated Biofilm Reactor)は中空構造の糸膜を束ねた装置で、下水処理施設の反応タンク内に沈めて運用する。糸膜の内側に空気を通すことで、糸膜外側に形成した生物膜に直接的に酸素を供給し、下水処理を行う。

バクテリアなど微生物の力を利用する下水処理施設では、反応を促進するためタンク底面に酸素を供給する曝気装置が搭載されている。MABRは膜によって気体が拡散されるため曝気が不要で、酸素供給に必要な送風電力を大幅に削減できる。また、中空糸膜に微生物を定着させることで生物保持能力も高く、下水を高速で処理できる。既設の反応タンクに設置することも可能なため、簡単な改修で施設の処理能力を増強できる。

三機工業は省エネ効果の高いガス透過膜の活用研究に注力しており、今回のMABRのほか、微生物の力でCO₂と水素を反応させてメタンを作るバイオメタネーションへの応用も研究中。MABRは2017年から研究しており、今回のオキシメム社との販売契約につながった。

水処理装置「MABR」のイメージ図

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