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セメント事業を太平洋セメントに譲渡
デンカ、事業ポートフォリオ変革推進

三友新聞 2022年11月3日号 より]

デンカ(今井俊夫社長)は太平洋セメント(不死原正文社長)にセメント製造・販売事業を譲渡する。10月25日付で契約を交わした。来年3月末までに新会社を立ち上げてセメント事業を切り離し、太平洋セメントが全株式を引き受ける。譲渡額は非公表。デンカが進める事業ポートフォリオ変革の一環で、成長事業に経営資源を集中させる。

デンカは1954年にセメント事業へ参入。新潟県糸魚川市の豊富な石灰石鉱山・黒姫山の鉱区を活用し、山麓にある青海工場で「デンカセメント」の生産を手掛けている。今年3月期のセメント事業の売上高は113億円。

一方、太平洋セメント系の明星セメントも本社・工場のある糸魚川市を拠点として黒姫山で石灰石を採掘。黒姫山にそれぞれ鉱区を持つ両社は2020年に南側斜面一体を共同開発する計画を打ち出した。山全体が石灰岩でできている黒姫山は将来的にも有望とされる石灰石鉱山で、採掘を合理化すればセメント及びカーバイドの原料となる石灰石を長期的に安定確保できる。

デンカはセメント事業の売却理由について、国内セメント需要が低調に推移していることなどを挙げ、「業界最大手の太平洋セメントに承継することが需要家にとってもメリットが大きい」としている。

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