三井のスポット

IHIものづくり館
アイミューズ
160年の歴史が物語る
技術力の進歩と挑戦の足跡

東京湾を間近に望む海辺の街・江東区豊洲。IHIが本社を構える豊洲IHIビル1階には、白を基調とした開放的なミュージアムがある。「IHIものづくり館 アイミューズ」は、江戸時代から続く同社の歴史と、時代を切り拓いてきた技術革新の歩みを伝える場として、大勢の人々に愛されている。

造船業で産声を上げた2つの重工業企業

嘉永6年(1853)は、黒船艦隊を率いたペリーが来航した年だ。この年、隅田川の河口に浮かぶ石川島(現・中央区佃)に、石川島造船所が設立された。以来、石川島造船所は造船・航空機・自動車といった重工業分野において、多方面に事業を展開していく。一方、明治40年(1907)兵庫県相生村(現・相生市)にて、唐端清太郎が播磨船渠株式会社を創設。以後、大型船の建造を主軸として、事業成長を遂げていった。

転機は昭和35年(1960)。さらなる事業成長を目指す双方の思惑が一致し、合併が決定。石川島播磨重工業が誕生した。同社は今や日本屈指の重工業企業としてエネルギーや航空・宇宙、社会インフラといった分野にも進出し、平成19年(2007)に現在のIHIへ社名を変更した。

宇宙技術コーナー(はやぶさ回収カプセルの模型を紹介)

LNGタンクを紹介

ものづくりの足跡をたどる数々の展示

160年の歴史を持つIHIの、ものづくりの歴史を知ることができるのが「IHIものづくり館 アイミューズ」。年間の来館者数は約1万5000人に上る。商談後に立ち寄るビジネスマンの他、近隣大学の学生や住民の来館率も高い。IHIの歴史を軸としながら、ものづくりやさまざまな技術に関する知識を深めることもでき、世代を問わず愛されるミュージアムとなっている。

エントランスには、日本初の純国産ジェットエンジン・J3ターボジェットエンジンや、大正時代に作られた日本初の国産商業車・ウーズレーCP型トラックの実物が展示されている。また、シンボル展示コーナーではクレーン・タンカー・LNGタンク・橋梁・ジェットエンジンの5つを紹介。たとえば、東京駅や霞が関ビルといった当時最先端の建造物建設を可能としたクレーン技術など、日本の近代化を技術で支えてきたIHIの足跡を知ることができる。さらに、トピックスコーナーでは映像や図書資料によってIHIと社会のかかわりなどを紹介。学習施設としての機能も果たしている。

技術力をもって産業の進歩に貢献してきたIHI。ここ数年著しい発展を続けている豊洲に本拠を構える現在も、ものづくりに懸ける情熱が変わることはない。

トピックスコーナー

受付ではスタッフが笑顔で出迎えてくれる

展示内容の紹介

ヒストリーコーナー

HISTORY 1

急成長する日本を支えたクレーン技術
明治44年(1911)に竣工した東京駅。約3,000tの鉄骨を組み上げるために、IHIは日本で初めてクレーンを活用。それから100年、今では超高層ビル建設で活躍している。

HISTORY 2

中東から原油を運ぶ20万t級のタンカー
昭和41年(1966)、IHIは世界初の20万t級タンカー「出光丸」を建造。原油積載量最大化と低燃費を両立し世界を驚かせた。全長342m・幅50m・深さ23mはその当時世界最大だった。

HISTORY 3

マイナス162℃という超低温の壁に挑戦
石油の代替エネルギーとして注目された液化天然ガス(LNG)。マイナス162℃という超低温を保つ巨大タンクや超低温圧縮機の開発など、IHIではLNGを安定的に貯蔵・供給する超低温技術に取り組んできた。

HISTORY 4

瀬戸内海を渡る世界最長の吊り橋を架ける
本州と淡路島をつなぐ明石海峡大橋は世界最長の吊り橋。IHIは独自の風洞実験を繰り返し、秒速80mの暴風にも耐えられる構造を実現。全長約4kmの世界最大の吊り橋であり、橋を支える2つの主塔は、海面から約300mの高さを誇る。

HISTORY 5

大空へとはばたくジェットエンジンの開発
昭和46年(1971)、国産初の航空ターボファンエンジンFJR710が誕生。プロジェクトの中心となったIHIの技術は高く評価され、以来30年以上ジェットエンジンの国際共同開発プロジェクトに参画している。

宇宙技術コーナー

小惑星探査機「はやぶさ」などに関する展示で、IHIの宇宙開発技術を紹介。

トピックスコーナー

映像コンテンツ「i-museおもしろ映像ステーション」で、IHIについて学ぶことができる。

INFORMATION

IHIものづくり館アイミューズ

[所在地] 東京都江東区豊洲三丁目1-1
豊洲IHIビル1階

[URL] http://www.ihi.co.jp/i-muse

[入場料] 無料

[開館時間] 9:30~17:30

[休館日] 毎週土・日曜日(年末年始、ゴールデンウィーク、夏季連休有り。詳しくはHPにて)

[TEL] 03-6204-7032

※上記の内容は2013年4月15日時点の情報です。
出典:三井グループ・コミュニケーション誌『MITSUI Field』vol.18|2013 Spring より

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