会員会社ニュース
超高層工事に衛星通信「スターリンク」活用
三井住友建設、通信環境整備し作業効率化
[三友新聞 2024年10月31日号 より]
三井住友建設(柴田敏雄社長)は、通常の無線通信が届きにくい超高層ビルの建設工事を効率化するため、タワークレーンに衛星通信を活用する手法を開発し実際の現場に導入した。米スペースX社が提供する低軌道衛星の通信ネットワーク「スターリンク」を活用したもので、これにより作業効率の改善を図る。
高層建物の建築で資材を持ち上げるために使われるタワークレーンだが、高さ100mを超える超高層工事になると携帯電話やインターネットなどの無線通信が届きにくくなる。有線LANケーブルの使用では、工事が進捗し高さが増すごとに延長する必要が発生するため、業務に必要な情報通信システムを利用する上で利便性に欠けるという課題があった。
スターリンクの導入はこの課題を解決するためのもの。三井住友建設は、クレーン下側の固定部分と上部の旋回部分をつないで電力や信号を伝達する「スリップリング」と呼ばれる部位を、電力線を通信回線としても利用する技術「PLC」によって通信ケーブルとして転用した。クレーン上部に設置したスターリンクアンテナから下部のWi-Fi中継器へのネットワークを整備することで、Wi-Fi中継器を上部に設置するよりも安定した通信環境を整えた。
これにより施工階で情報通信システムが常時利用できるようになり、情報共有や進捗管理にかかる労務費の削減につなげている。