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経済価値評価で総額5,500億円に
王子ホールディングスの国内社有林
[三友新聞 2024年9月26日号 より]
王子ホールディングス(磯野裕之社長)はこのほど、民間企業最大の約19万haを誇る国内社有林の経済価値を評価し、水源涵養や生物多様性の保全などの機能により、総額で年間約5,500億円になると発表した。
王子HDは国内で約18.8万ha、国内外を合わせると東京都の約3倍にも及ぶ約63.5万haの社有林「王子の森」を持ち、1930年代に社長を務め「製紙王」と呼ばれた藤原銀次郎が唱えた「木を使うものは木を植える義務がある」という理念の下でサステナブルな森林経営を行っている。経済価値の試算は、企業の評価として自然資本への関心が高まっていることを受け、林野庁「森林の公益的機能の評価額について」の手法を用いて算出したもの。
試算では、木材生産だけでなく、生物多様性や土砂流出防止、水源涵養といった多様な公益的機能を持つ森林について、国内「王子の森」は「土砂流出・崩壊防止」で2,750億円、水源涵養で2,040億円、生物多様性の保全で430億円、大気保全・保健休養で280億円(いずれも年間)と、総額5,500億円の価値を弾き出した。
磯野社長は会見で「今回は土壌に対する評価は含めていないが、森林資源の価値化については様々な測定方法があるため、国内最大級の社有林を持つ当社が中心的な役割を担いながら、今後、その部分を含めて確立させ精度をさらに高めていきたい」と話した。