会員会社ニュース

非可食バイオマスから化学品原料製造
東レ、タイ子会社の本格稼働へ12億円増資

三友新聞 2023年8月31日号 より]

東レ(大矢光雄社長)は、2017年にDM三井製糖(森本卓社長)とタイに設立した、バガス(サトウキビの搾りかす)などの非可食バイオマスから化学品の原料を生産するセルロシック・バイオマス・テクノロジー(CBT社)に対して12億円の増資を引き受け、出資比率を67%から84.4%に引き上げる。製品原料の再生資源化を加速させる取り組みの一環として行うもので、2030年までにCBT社による非可食糖の供給能力を年間10万t規模に高める計画としている。

CBT社では新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の2022年度までの実証事業として、サトウキビの搾りかすである「バガス」と、タピオカなどの原料となるキャッサバ芋の搾りかすである「キャッサバパルプ」から、化学品の原料となる糖を生産する技術の開発に取り組んできた。同事業により、酵素を活用するバイオ技術と水処理分離膜の技術を融合した「膜利用バイオプロセス」の技術を確立し、食糧と競合しない「非可食バイオマス」の活用に目処を付けた。

東レの増資は実証段階から本稼働への移行を意味するものとなる。CBT社では増資で得た資金をもとに、バガスを原料とした非可食糖を製造する設備に加えて、キャッサバパルプ用の設備を新たに導入し、その製造能力を拡充する。また、バイオマス燃料が利用可能なボイラーの導入や、排水処理の能力増強を行い、非可食糖製造にかかるコストの低減を図る。

CBT社の全景

他の記事も読む