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商船三井、世界初のEVタンカー竣工
燃油不使用で温室効果ガス排出ゼロ

三友新聞 2022年4月28日号 より]

商船三井(橋本剛社長)などの出資によりEV船開発を担う「e5ラボ」(一田朋聡社長=商船三井執行役員)はこのほど、EVタンカー「あさひ」を竣工させた。燃油による温室効果ガスを排出しない完全電気推進のEVタンカーは世界初。船舶燃料供給船として東京湾内に就航する。来年には2隻目の「あかり」も竣工を予定している。

世界初のEVタンカー「あさひ」

「あさひ」は全長62m、全幅10m、総トン数492t、積載量は重油約1,200kl。川崎港を母港とし、東京湾内の内航船や外航船に燃料を供給する。

動力源として3,480kWhの大容量リチウムイオン電池を搭載。温室効果ガスの排出を抑えるほか、振動・騒音も発生せず、船内環境を改善する。充電時間は6時間から10時間程度で、夜間の待機時間中に川崎港で行う。フル充電した場合は約200kmの航行が可能。電力は再生可能エネルギーで賄い、カーボンニュートラルを実現する。災害時は被災地に派遣し、小型発電所の役割も担う。

一方で課題も多くあり、「あさひ」の建造費は一般的な同規模船の約2倍。航行距離も短く、移動範囲は限られる。給電装置を各港へ導入するにはシステムの最適化と標準化が必要とされる。

大容量の船内バッテリー室

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