会員会社ニュース

次世代デバイス用材料「GaN基板」
日本製鋼所・三菱ケミカルが量産へ

三友新聞 2021年12月16日号 より]

日本製鋼所(宮内直孝社長)は、三菱ケミカルと共同で取り組む4インチサイズの窒化ガリウム(GaN)基板量産へ向けた実証開発において、GaN結晶が計画通りに成長していることを確認した。来年度初頭からの市場供給を計画する。

GaNは次世代電子デバイスの実現を支えるとして注目される材料。従来使われてきたシリコンよりも電力の変換効率が向上でき、各種電子機器内部に搭載されている電力変換器の効率向上や小型化が期待されている。

日本製鋼所と三菱ケミカルは、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業採択の下、4インチのGaN単結晶基板量産に向けた結晶成長試験を進めてきた。三菱ケミカル独自の製法を応用し、北海道室蘭市の日本製鋼所M&E室蘭製作所内に建設した試験設備で4インチの均一な結晶の成長を確認できたことから、今年5月には室蘭製作所内に世界最大級のGaN基板製造実証設備を竣工させ、両者は量産に向けた実証実験に取り組んできた。この大型設備では化学反応を促進させる高温高圧の圧力容器を備えるのが特徴で、日本製鋼所の圧力容器に関するノウハウが活かされている。

両者は今後、結晶成長試験を継続しながら、来年度初頭の市場供給へ向け一層の生産性向上を推進するとしている。

成長したGaN結晶

他の記事も読む