三井のスポット

サッポロ
ファクトリー
開拓使麦酒醸造跡地に
開発された
大型商業複合施設

開拓使麦酒醸造所跡地に開発された大型商業複合施設/札幌の開拓使麦酒醸造所は、日本人が自ら醸造した初のビール工場。当時使用されていた赤レンガの歴史的な建物を生かし、周辺を大規模商業施設として再開発したのがサッポロファクトリーだ。巨大な全天候型のショッピングモールをはじめ、さまざまな施設が集合し、多彩なライフスタイルを北の地に提供している。 巨大なガラス屋根から日差しが降り注ぐアトリウムはサッポロファクトリーのシンボルゾーン。各階に回遊通路がある

開拓使の夢を現代に引き継ぐ

日本が近代国家に向かおうとしていた明治時代の初頭、政府は日本人の手によるビール生産を目的に、各地に官営のビール醸造所を計画。その中で、唯一ビール販売にまでこぎ着けたのが、明治9年(1876)に創業された札幌の開拓使麦酒醸造所であった。

レンガ館はビール工場の貯酒棟として明治30年代に建築された。現在は、アート&工芸雑貨の販売とともに、地ビールも醸造されている

冷製「札幌麦酒」と名付けられた初の国産ビールは芳醇な香りを持ち、ラベルには開拓使のシンボルである北極星が描かれて、当時は大変な評判であったという。この醸造所は明治22年(1889)に「札幌麦酒株式会社」に発展し、変遷を繰り返しつつやがて今日のサッポロビールに至る。

以来、開拓使麦酒醸造所のそれぞれの施設は、サッポロビールの「札幌第一工場」として長い間ビール生産を続けていたが、1989年、大規模な「北海道工場」(恵庭市)の完成によってその役目を終えた。赤レンガづくりを特徴とする貯酒棟は、今日開拓使の歴史を伝える貴重な文化遺産のひとつ。これらの遺構を可能な限り残しながらエリア一帯を再開発し、大型商業複合施設として新たに出発したのが「サッポロファクトリー」だ。開業は1993年。コンセプトワードは「北の・あたらしい・くらし」で、地域の活性化と生活環境の向上を主眼においている。

地ビールは、その名も「開拓使麦酒」として販売されている

クリスマスのシーズンには、アトリウム中央に巨大なツリーが出現。訪れる人々の目を楽しませてくれる

札幌の名所として国内外から注目

サッポロファクトリー内部には高さ39m、全長84m、幅34mのガラスドームをかぶせた全天候型の巨大アトリウムを中心にショッピングモール、アミューズメント、レストラン、フィットネスクラブ、ホテルなどさまざまな施設が6つのエリアに配置されている。

「1条館」はショールームや映画館のエリア。「2条館」と「3条館」はファッション、インテリア、生活雑貨などのショップエリアだ。「レンガ館」はその名のとおり開拓使麦酒醸造所時代の赤レンガの建物を利用。ここには土産物や工芸品が揃えられ、また明治の味を再現する地ビールも醸造するなど、開拓使の夢を今に伝えている。

2006年にオープンした「フロンティア館」には、スーパーマーケットやドラッグストアなど生活に密着した店舗が軒を連ね、そして「西館」にはフィットネスクラブや多目的ホールなどが並んでいる。クラブハウスに似た雰囲気やサービスが特徴的な都市型ホテル「ホテルクラビーサッポロ」も、この「西館」に位置している。

ホテルクラビーサッポロの“クラビー”とは「愛想のいい、人付き合いのいい」といった意味。名称が示すとおり、クラブメンバーであるかのような、自由で居心地のいい時間をゲストに提供

ロビーはクラシカルで落ち着きのある雰囲気。

スタンダードクラスでもシティホテルのデラックスルーム並みの広さを誇る

ショップや施設の数は約160。国内では、ここサッポロファクトリーにしかないショップ、またここでしか手に入らない商品なども多くあるというからちょっと見逃せない。それぞれの建物は連絡通路でつながっているので、寒い時期の移動も苦ではない。

また、冬の長い北国の巨大空間施設として、数多くの省エネ対策を盛り込んだシステムを導入。札幌の名所として誕生以来話題を集め、市民や国内外の観光客から親しまれている。

INFORMATION

サッポロファクトリー

[所在地] 札幌市中央区北2条東4丁目
※札幌駅より徒歩約12分

[URL] http://sapporofactory.jp/

[営業時間]
ショッピング/10:00~20:00
レストラン/10:00~22:00、不定休

[TEL] 011-207-5000(10:00~20:00)

※上記の内容は2009年10月15日時点の情報です。
出典:三井グループ・コミュニケーション誌『MITSUI Field』vol.4|2009 Autumn より

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