三井百科・百景

モスラー社製
「東洋一の大金庫」

三井本館地下の大金庫

三井本館地下にある米国モスラー社製の大金庫は、昭和4年(1929)の本館竣工以来、三井信託(現三井住友信託銀行日本橋営業部・東京中央支店)の保護預庫を守っている。

扉は直径2.5m、厚さ55cm、重さ50t。堅牢さ、精巧さにおいて「東洋一の大金庫」とされ、運搬時は重量制限のため日本橋上を運ぶことを許可されず、新常盤橋際まで船で運び、陸上げしたという逸話が残る。

金庫内には6,000以上もの貸金庫があり、今も個人向けに使用されている。開業当時は米国と日本の湿気の差により、金具類の不具合が多く、保護函の錠の調整にも難航したという。

また、1階の三井住友銀行日本橋支店内にも、モスラー社製の金庫が置かれている。

三井住友信託銀行日本橋営業部では、大金庫前のロビーでサロンコンサートを催しているほか、NHKの「ブラタモリ」で紹介されるなど、三井本館の名物として愛され続けている。

(2017年10月5日掲載)

バックナンバー