三井百科・百景

現存する日本最古の
ビヤホール

昭和9年竣工のライオン銀座七丁目店

現存する日本最古のビヤホール「ライオン銀座七丁目店」は昭和9年(1934)、サッポロビールの前身である大日本麦酒の本社ビルとして建てられた。

1階ビヤホールの内装はクラシック・モダンを基調とし、壁面と柱には2種類の色タイルを使用。立ち並ぶ柱と重なり合う逆三角形の垂れ壁は四方に開き、柱上部に施された彫刻と大理石のカウンターは華やかさを一層演出している。中でも目を見張るのが正面と左右壁面に取り付けられた大小12枚のガラスモザイク壁画だ。縦2.75m、横5.75mの大壁画にはビール麦を収穫する女性たちが描かれている。製作者は当時、洋行帰りのガラス職人として名を馳せた大塚喜蔵。大塚が用意したガラス色は46,000色にも上り、その中から選び抜かれた250色が使用された。

その後、建物は幸いにも戦火を免れ、戦後は米軍用ビヤホールとして接収されたが、昭和27年(1952)から営業を再開。今もその姿を留めている。

(2017年8月4日掲載)

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