三井百科・百景

小石川家本邸跡の
文京区立
第三中学校

小石川家本邸の面影を残す中学校の門柱

戦前まで東京各所に広大な土地を有していた三井家。三井11家のうち、NHKの朝の連続テレビ小説「あさが来た」に登場する「今井家」のモデルでもある小石川三井家の東京本邸跡には現在、文京区立第三中学校が建てられている。

三井各家には三井姓とは別にそれぞれ家名があり、三井高利の十男家は京都・油小路出水に本邸があったことから11家の中で「出水家」と呼ばれた。明治に入り、三井各家は東京に転居。出水家は小石川区(現文京区)に本邸を構え、以後、「小石川家」を名乗る。

1万平方メートルの敷地に42畳の大食堂やホール、能舞台のほか、自動車3台などを備えた豪邸であったが、後に空襲で焼失。門柱と馬屋だけが残った。戦後、小石川家9代当主・三井高修は住宅再建を検討していたが、地元の熱意により、学校用地として譲渡し、昭和24年(1949)、新校舎が落成した。門柱と馬屋だった建物は現存しており、三井家旧邸の面影を残している。

なお、第三中学校の「三」は三井家の「三」であるとも言われるが、区史では土地の譲渡前に仮校舎で開校しているため、偶然の可能性も指摘されている。

(2016年2月5日掲載)

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