三井百科・百景

三井ゆかりの
神岡鉱山と
「カミオカンデ」

「スーパーカミオカンデ」設置のために、三井金属が建設した巨大な地下空間

小柴昌俊・東大特別栄誉教授、梶田隆章・東大教授のノーベル物理学賞受賞に貢献したニュートリノ観測装置「スーパーカミオカンデ」(岐阜県飛騨市)。施設は明治期に三井財閥が傘下に収めた旧神岡鉱山内にあり、現在も三井金属系の神岡鉱業が鉱山跡を管理している。

三井による神岡鉱山の取得は三池炭鉱よりも早く、明治7年(1874)まで遡る。亜鉛、鉛、銀などの資源が豊富で、採掘は平成まで続けられた。

昭和58年(1983)、硬岩盤の地質や湧水を利用した純水の確保などが宇宙線の研究に適していることから、東大宇宙線研究所のニュートリノ観測装置「カミオカンデ」が設置される。地下1,000mに設けられた3,000tの純水タンクと1,000本の光電子増倍管からなる巨大空間で、名前は地名の「神岡」と「NDE」(Nucleon Decay Experiment、核子崩壊実験)を繋げた。平成8年(1996)には鉱山内に新設された「スーパーカミオカンデ」に引き継がれた。

施設建設にあたっては地下の巨大空間の掘削に三井金属の岩盤エンジニアリング技術が生かされており、また、素粒子物理学関連施設で実績のある三井造船も参画している。

(2015年12月18日掲載)

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