三井百科・百景

三井家の寄付で
開園した
京都府立植物園

大正13年(1924)1月1日に日本最初の本格的な公立植物園として開園した京都府立植物園(京都府京都市左京区下鴨半木町)は三井家の寄付によって造られた。面積24haの敷地に現在も約1万2,000種類、約12万本の植物が植えられている。

昭和59年(1984)の開園60周年記念式典には、三井グループ各社首脳が出席。平成4年(1992)4月には三井建設(現三井住友建設)がジョイントベンチャーによって施工した日本最大級の観覧温室(延床面積4,612m2)がオープン。約4,500種類、2万5,000本の植栽植物が展示されている。

もともとこの場所は大正天皇即位の大礼が京都で挙行されることを記念して当時の大森鐘一京都府知事が京都博覧会開催を計画して買収したもの。この計画が不調に終わり、京都府独力による植物園の建設も府会で否決されたため、京都での大礼の挙行を記念するために尽力しようと考えていた三井家が大正2年(1913)11月、京都市に25万円を寄付し、大正6年(1917)4月に工事が着工した。

当時国内には東京帝国大学付属の小石川植物園と、現北海道大学農学部の前身である東北帝国大学農科大学付属の札幌植物園があったが、大学の研究用が主体であり、大典記念植物園は地域住民のための施設として親しまれた。

その後も三井家同族会が大正9年(1920)に30万円を寄付し、大正12年(1923)11月10日の大正天皇の大典記念日に竣工した。

さらに、園内に大森知事を称える大森記念文庫が開設された際にも三井家は総領家当主である三井八郎右衞門高棟名義で1,000円を寄付している。

正面入口近くの大典記念京都植物園設立記念碑の碑面には三井家が寄付を行った経緯が刻まれている。

(2013年2月28日掲載)

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