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SMBCで稲垣さんの個展「他者が私になるとき」
三井みらいチャレンジャーズオーディション
[三友新聞 2025年8月21日号 より]
三井みらいチャレンジャーズオーディションで選抜された「チャレンジャー」の一人であり、現代美術作家として活動する稲垣桃さん初の個展「他者が私になるとき」が、東京・丸の内の三井住友銀行東館1階「アース・ガーデン」で8月14日から開催中。開会前日には関係者向けの内覧会が行われ、稲垣さんが作品を解説した。会期は9月14日まで。入場無料。

三井住友銀行東館で自身初の個展を実現させた稲垣さん
展示作品は3種あり、1作目の「一直線上」は、一列に並べた半透明のスクリーン上に9名の企業人のインタビューを投影したもの。鑑賞者をスクリーンと同列に立たせることで、9名の問題意識を自分事として疑似体験させる。
2作目の「安全な傍観者(安全な傍観者ではない)」は、デジタルサイネージに投影された稲垣さんの声と身体を使って鑑賞者の体験を語る作品。回答フォームを通じて5つの問いに答えることで、生成AIにより体験が言語化される。
3作目の「尊厳の円環」は和紙に描かれた3つの円による平面作品。女性の身体に向けられてきた性的なまなざしを超えて、その本質的な美しさと尊厳を見つめ直す試みとして、整った円の輪郭が少しずつ崩れていく変化を表した。
内覧会で稲垣さんは、関係者へ謝意を示しつつ「作品は私一人の手で完結するものではなく、見てくださった方のまなざしや感覚が混ざって初めて輪郭がはっきりするもの。会場の中で立ち止まった時に、自分の内側に何か差し込んでくる瞬間があればうれしい」と語った。

内覧会で、自身を投影した作品「安全な傍観者(安全な傍観者ではない)」を解説