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リチウムイオン電池用マンガン系正極材開発
三井金属の「イコノス」活用で課題克服
[三友新聞 2024年12月12日号 より]
三井金属(納武士社長)は、高電位領域でのマンガン溶出やガス発生などの課題を克服したリチウムイオン電池用のマンガン系正極材料を開発した。今年3月に発表したレアメタル新溶液材料シリーズ「iconos(イコノス)」を活用したもので、従来マンガン系では不向きとされた用途への展開が期待される。
リチウムイオン電池では、産出国に偏りがあり人権問題等をはらむコバルトを使わない高エネルギー密度を有する正極材料の創出が期待されている。ニッケルマンガン酸リチウムは候補とされながらも、高電位領域における電解液との副反応により正極成分からマンガン溶出やガス発生の懸念があり、実用化への大きな障壁となっていた。
三井金属が今年3月に発表したiconosは、独自の溶解技術により各種レアメタルの難溶性というハードルを克服して溶液化したもの。同社が保有する次世代ニッケルマンガン酸リチウム正極材料への応用を検討する中で、iconosによりP―Ta(リン―タンタル)を被覆することで技術課題を克服したニッケルマンガン酸リチウム正極材料を開発した。
三井金属は今後、新たな電池用iconosの開発と全固体電池材料への応用展開を視野に、自社で保有する技術の融合を加速させていくとしている。