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商船三井の次世代帆船効果検証
1日最大17%の燃料削減確認

三友新聞 2024年5月23日号 より]

商船三井(橋本剛社長)は世界初の硬翼帆式風力推進装置を搭載した「ウインドチャレンジャー」の燃料削減効果を発表した。風力を船舶推進力の補助エネルギーに利用する。帆が稼働している状態では1日最大17%、1航海平均は5%から8%の削減効果を得られ、想定通りの性能が確認された。1番船は東北電力向け石炭輸送船の「松風丸」として2022年に竣工。これまで豪州やインドネシア、北米などから日本向けの往復計7航海の石炭輸送に従事し、性能検証が行われた。

ウインドチャレンジャープロジェクトは2009年に東京大学が主導する産学共同研究としてスタート。2018年に商船三井と大島造船所が引継ぎ、10年以上を費やして実現させた。硬翼帆は高さ約53m。繊維強化プラスチックで軽量化され、最大瞬間風速70mにも耐えられる強度を持つ。高さは4段階に可変。センサーが風速や風向きを感知して効率よく推進力が得られるように自動的に伸縮したり、旋回したりする。日本・豪州航路で約5%、日本・北米西海岸航路で約8%程度のGHG削減効果がある。硬翼帆は本数が多いほど高い効果が得られ、将来的には複数帆を搭載することも視野に入れている。2番船は米国向け木質ペレット輸送船で年内にも竣工する予定。

ウインドチャレンジャー1番船の「松風丸」

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