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世界初、GHG排出実質ゼロで遠洋航海
商船三井がバイオメタノール燃料使用

三友新聞 2023年3月9日号 より]

商船三井(橋本剛社長)は1月から2月にかけて、バイオメタノールを燃料に用いたメタノール輸送船による大西洋横断の航海を行った。温室効果ガス(GHG)の排出量を実質ゼロにした遠洋航海は世界初。

カナダのメタノール製造大手・メタネックスと、その子会社で世界最大のメタノール船隊を手掛けるウォーターフロント・シッピングの協力を得て、米国ルイジアナ州・ガイスマー港からベルギー・アントワープ港まで18日間をかけて大西洋を横断した。

バイオメタノールを燃料に使用したメタノール輸送船

燃料には家畜の糞尿由来のバイオメタノールを一部に使用。天然ガス由来の従来のメタノールと混ぜ合わせた。糞尿由来のバイオメタノールはCO₂よりも温室効果が約25倍も高いメタンを回収するため、メタノール製造過程や燃焼時のGHG排出量を上回る形でCO₂排出量実質ゼロを実現できる。

メタノール燃料船は現在、世界に25隻あり、このうち商船三井は5隻を保有。船種はメタノール輸送船がほとんどを占めるが、世界で発注済みのメタノール燃料船約100隻は大半がコンテナ船で、今後も船種は増えると見られる。メタノールは製造コストや供給量などに課題があるが、常温常圧で扱いやすく、世界約130港に貯蔵拠点があるなど、補給のためのインフラ施設を整えやすい。

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