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次世代半導体材料「窒化ガリウム」量産へ
日本製鋼所・三菱ケミが世界最大級実証設備

三友新聞 2021年5月27日号 より]

日本製鋼所(宮内直孝社長)は三菱ケミカルと共同で、窒化ガリウム(GaN)単結晶基板の量産に向けた世界最大級の実証設備を、グループ会社の日本製鋼所M&E室蘭製作所(北海道室蘭市)構内に竣工させた。今年度中に4インチ(約10cm)サイズでの量産に向けた実証実験を行い、2022年度初頭の市場供給開始を目指す。

半導体製品の主材料は現在、シリコンが主流だが、GaNはこれに代わる次世代材料として注目を集めている。特にサーバや基地局の省電力化、高い電圧や大きな電流を扱う「パワー半導体」への応用、レーザーや照明などへの高出力・高輝度光源としての応用が期待されるが、その生産では品質の安定やコストに課題があった。

日本製鋼所は人工水晶製造用のオートクレープ(圧力容器)を製造しており、日本国内のシェアは100%。また、グループ会社で30年にわたり人工水晶を製造し、主に国内のカメラメーカーに光学部品を納入している。三菱ケミカルは高品質のGaN基板製造技術を持っており、両社はこれらの技術を基に東北大学や名古屋大学と共同研究を重ねてきた。

今後は、4インチのGaN基板の量産に向けた実証実験を進めて安定供給体制を構築するとともに、近年需要が増加するパワーデバイス用途に適用可能な6インチ(約15cm)基板の開発を進める。

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