三井の特集

三井広報委員会
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三井百科

越後屋の宣伝にもなった「貸し傘」

「江戸中を越後屋にして虹が吹き」という川柳がある。三井の事業の始まりであり、三越百貨店の前身である呉服店「越後屋」は、にわか雨の時に、店章入りの傘を多くの客に貸し出していた。

この貸し傘の庶民への浸透ぶりが分かる川柳に、「越後屋の前迄傘へ入れてやり」という句がある。また、「越の傘小雨にも差すふてへやつ」という川柳からは、越後屋の傘を差すことや越後屋の顧客であることが、江戸っ子の見栄にもなっていたことがうかがえる。

元禄6年(1693)6月、江戸の有名な俳人で蕉門十哲の一人である宝井其角(たからい きかく)は、三囲神社(現在の東京都墨田区)で雨乞いをする人たちを見て、「夕立や田を三囲りの神ならば」と句を詠み、それによって雨が降ったという。その話が江戸中に広まった。超能力のような其角の句の力をたたえ、「夕立のあと江戸中に名を降らし」、「傘の禮すむと其角が話なり」という川柳もできた。

「三囲の雨以降傘を貸しはじめ」という川柳からすると、越後屋は其角が句を詠んで雨を降らしたことから、貸し傘サービスを始めたことになる。越後屋は、町の噂、庶民の心理に敏感であった。傘には店章が入っているので、大いに越後屋の宣伝になった。

三井家が、三囲神社を守護神とした謂れはいろいろあるが、この雨乞いの話がきっかけという説もある。

ところで、落語の世界では、「三井の大黒」が昔から有名だが、越後屋の貸し傘は現代の落語に登場している。

日本橋三越本店内にある三越劇場は、平成19年(2007)に創立80周年を迎えた。同年の7月13日に、同劇場の歴史ある催しのひとつである「三越落語会」(538回)で、「三井の貸し傘」という落語が演じられた。作者も演者も三遊亭圓窓で、同劇場の創立80周年を記念して創作された。越後屋の貸し傘にまつわる心温まる落語である。

(2014年6月20日更新)