三井百科・百景

三井本館の
12のレリーフ

三井本館東面の「紡車・繭・桑枝」(左)と「蜂窩」(右)

昭和4年(1929)に竣工した東京・日本橋の三井本館は、当時の三井合名理事長・團琢磨による「壮麗」「品位」「簡素」というコンセプトのもと、外観デザインは20世紀におけるアメリカの新古典主義的なデザインが採用された。その偉容は今もなお三井を象徴する建造物であり、国の重要文化財にも指定されている。

ローマ風のコリント式大オーダー列柱が偉観を誇る外壁の上部に目をやると、東・西・南の3方向に4つずつ、12種類のレリーフがあることに気がつく。これらはそれぞれ事業や業種、精神を表しており、各面のレリーフの意匠及び意味は以下のようになっている。

  • 東面
    「紡車・繭・桑枝」=生産・工業・絹業。「蜂窩」=節倹・勤勉。「地球儀・星・定規・測径器」=算数。「蒸留器・試験管」=化学工業。
  • 西面
    「ショベル・鋤・鶴嘴・坑夫帽」=鉱業・地中財宝の披索。「調色板・絵筆・柱頭」=美術・建築。「歯車・調速機・鉄槌」=機械工業。「犁・麦束」=農業。
  • 南面
    「マーキュリー・杖」=商業。「錨・舵車」=海運業。「翼車・飛行機」=速力・陸上運送業・空の征服。「秤・鍵」=財政・為替・公平・確実・財宝の保管者。

三井本館の前を通る機会があれば、レリーフにも注目してみよう。

(2014年2月7日掲載)

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