会員会社ニュース

三井物産、米地熱発電振興に出資
立地の制約受けず大規模な電力供給可能に

三友新聞 2025年12月18日号 より]

三井物産(堀健一社長)は次世代地熱発電を手掛ける米国新興のFervo Energy Company(ファーボ・エナジー・カンパニー)に出資する。出資額は非公表。開発エリアを問わない人工的な地熱利用を促し、データセンターなどと一体型の運用を目指す。

従来の地熱発電は温泉地や国立公園などのある場所に限られるため地理的な制約があるほか、発電効率が低く、地下構造の不確実性から多額の開発費用がかかった。

ファーボが開発した次世代地熱発電は「ESG方式」と呼ばれ、シェールガス開発で培った掘削技術を応用。地下の岩盤に人工的に形成した割れ目へ水を注入して得た熱水や蒸気を回収し、地上でタービンを回して発電する。熱水は冷却された後、再び地下の貯留槽へ戻される仕組みだ。立地制約を受けず、大規模化が可能になる。

ファーボがユタ州で建設中の次世代地熱プロジェクト

ファーボは2023年から米国ネバダ州で出力3,500kWの実証機を運用。Googleのデータセンター向けに地場の電力系統を介して全量を売電している。さらに出力10万kWの地熱発電所をユタ州で建設中だ。2026年以降の操業を目指す。最終的には出力50万kWまで拡張し、世界最大規模の地熱発電所にする。カリフォルニア州の大手電力会社が電力購入を決めている。

三井物産はファーボへの出資を通じて国内外で事業協力し、クリーン安定電源の普及に努める。将来的には日本・アジアで次世代地熱発電所を展開することも視野に入れる。

他の記事も読む