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3Dプリンター製総義歯が保険適用
日本初、三井化学系が販売

三友新聞 2025年12月4日号 より]

三井化学(橋本修社長)傘下で歯科材事業などを手掛ける独クルツァーの日本法人・クルツァージャパン(三沢聡社長)が販売する3Dプリンターで作製する義歯(入れ歯)用材料が、12月1日付で保険適用となった。

3Dプリンターで作製した総入れ歯

中央社会保険医療協議会の了承を得たもので、総入れ歯が対象。3Dプリンターで作製する入れ歯用材料が保険適用となるのは日本で初めて。

三井化学によれば、高齢化が進む日本では75歳以上で1本も歯がない無歯顎が2割以上に及び、年間で18万人が総入れ歯を作製しているという。また総入れ歯は熟練の歯科技工士が手作業で作っていたが、人材不足による安定供給が懸念されている。

独クルツァーは1935年設立の老舗企業で、三井化学が2013年に買収。歯の配列や歯肉のデザインを3Dプリンターで造形して総入れ歯を作製する技術は2020年から日本で展開している。3Dプリンターによる総入れ歯は、クラウドベースのソフトウェア上で作成したデザインをもとに専用インクで総入れ歯の歯肉部分と歯部分を造形、接着、重合することで作るため、従来のような技工士の手作業による時間を短縮可能な上に、技工士の技術に左右されず均質なものを安定供給できる。保険適用により、3Dプリンター製の総入れ歯の普及が見込まれる。

3Dプリンターによる義歯床部分の作製

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