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ポートフォリオ変換で木質バイオマス企業へ
王子ホールディングスが3カ年中計
[三友新聞 2025年6月5日号 より]
王子ホールディングス(磯野裕之社長)は、2025年度から27年度までの新中期経営計画を5月30日に発表した。2035年を見据え「サステナビリティへの貢献」を掲げた長期ビジョンを策定した上で、27中計は基盤を固める準備期と位置づけ、27年度のROE(自己資本利益率)8.0%、連結営業利益1,200億円、当期純利益800億円、配当性向50%、ネットD/Eレシオ1.0倍以内などの目標を設定した。
24年度までの前中計は数値目標に対し大幅に未達。人件費などのコスト高や海外市況の下落に加え、価格転嫁が不十分だったことなどが原因と分析した上で、資本構成の見直し、資産のスリム化、収益力の強化、事業ポートフォリオ転換によりROE向上を図るとした。
財務的には保有株式や不動産など非コア資産の売却を進める。事業ではOji Fibre Solutionsの段原紙事業など低収益事業から撤退する。
プラスチックを紙化することで需要が見込まれるサステナブルパッケージ事業は開発やマーケティングを強化し、拡販を図る。海外事業では資本効率を確認しながらインドや東南アジアの経済成長を取り込む。
長期ビジョンでは企業価値の最大化と社会課題の解決に向けた取り組みを通じてサステナビリティに貢献することを目指す。米子工場で5月に稼働させたパイロットプラントで製造する木質由来の糖液・エタノールを活用した木質バイオマスビジネスなどを将来の中核事業に据えて、2030年代には木質バイオマス企業に進化を遂げる。