会員会社ニュース

回収ペットボトルから鉄道設備向け吸音材
三井化学・JR東日本などが開発

三友新聞 2023年9月28日号 より]

三井化学(橋本修社長)はJR東日本、JR東日本環境アクセス、ビーエステクノと協業し、駅で回収したペットボトルを活用した「えきPET吸音材」を開発した。ペットボトルなどのリサイクル原料比を従来より倍増して約5割に高め、製造時のCO₂排出も低減させた。

JR東日本は駅のゴミ箱やリサイクルボックスで回収したペットボトルについて、処理フローを見直すことでトレーサビリティを明確化し、鉄道利用に向けたリサイクルを可能とした。開発した吸音材は今年12月以降、東北新幹線の盛岡・新青森間の速度向上に伴う環境対策設備に導入し活用する。三井化学は吸音材の製造を担う。

回収したペットボトルはJR東日本の施設で分別し、洗浄して製品に加工する。水やアルカリ洗浄を複数回行い、飲み残しなどの汚れを落とした上で、改良した繊維化技術により粘度の高い原料から吸音材を製造する。回収したペットボトルを含むリサイクル由来の原料比は現行品の約25%から約50%に高め、製造時のCO₂排出を5%低減させた。吸音板1枚につき500mlのペットボトル約35本分が含まれる。

今後は原料削減技術を開発し、CO₂排出のさらなる低減に取り組む。現行の吸音材では繊維構造が中実繊維となっているが、開発中の吸音材では中空化させる。吸音性能を維持したまま使用原料を削減し、生産時のCO₂排出量を35%低減することを目指す。