今回より「世界に広がる三井グループ」と題し、三井グループ各社のグローバル展開を4回にわたって紹介する。
第一回目に取り上げる地域は、欧州・北米。ヨーロッパは欧州連合(EU)の拡大による経済成長の可能性に加えて、2012年にはロンドンオリンピックの開催を控え、今後ますますの発展が見込まれている。
一方、北米のシリコンバレーには世界をリードする情報システム産業が集まっており、非常に注目されている地域でもある。
各地における活躍とともに、欧州・北米で事業や地域社会への貢献活動を展開する三井グループ5社の取り組みに注目した。
株式会社 三越
Mitsukoshi, LTD.
さまざまなお客様に向けて独自のサービスを展開
創業より30年以上の歴史を誇るロンドン三越では、高品質なサービス提供とともに、地域に根ざした事業展開を続ける
今までもこれからも、ロンドンで愛される百貨店として

1979年、ロンドン三越は観光や現地駐在でロンドンを訪れる日本人を対象に、ヨーロッパの地でも安心して楽しめる、ハイクオリティなサービス提供を目的として開店した。店舗では、ギフトショップとして老舗ブランド商品の展開に加え、英国王室御用達百貨店の商品をセレクトして揃えているのが特徴。昨今は、ハローキティの根付やラベンハムのキルトジャケット(ロンドン三越限定デザイン)などオリジナルグッズの評判が良い。
近年は、ヴァイオリニスト・葉加瀬太郎氏によるプライベートコンサートや、パティシエのジル・マルシャル氏による実演調理などのイベントを実施。リピーターの顧客でも、常に楽しめる取り組みを推進している。他にも、現地日本人の来店が多い催事期間の週末、大使館に「三越内1日領事館」のスペースを提供したり、ロンドン日本人学校の生徒を対象に、職場体験学習を行うなど、現地日本社会へさまざまなかたちで溶け込んでいる。

ロンドンの街並みに見える三越の看板

現地スタッフの仕事風景

ロンドン三越限定ハローキティ根付
2012年にはロンドンオリンピック開催を控え、公認スポンサーであるアディダスグッズの公式販売も決定。今後も物販事業だけにとどまることなく、地域に根ざした文化事業をも担う百貨店として、愛されるロンドン三越を目指していく。
30年の長きにわたって愛されてきたロンドン三越。全3フロアで展開する店内には多岐にわたる商品が並ぶほか、有名パティシエによる実演販売イベントなどが催されることもある。イギリスと日本の文化が融合したその姿が、国籍を問わず愛され続ける由縁だ。
三井物産株式会社
MITSUI & CO., LTD.
EU加盟国の鉄道輸送活性化に向けて
ヨーロッパ全域における鉄道車両リース・保守・運行管理サービス事業の展開に注力する三井物産は、多方面での飛躍が期待されている
鉄道車両リースで、EUの環境と産業に貢献する
2000年頃より、加盟国内での鉄道自由化政策を展開しているEUでは、需要増加に伴い民間の鉄道貨物会社が次々に誕生した。それに伴い、鉄道車両リースに対するニーズはどんどん高まっている。そこで三井物産では、アメリカで培った鉄道車両リース事業の実績とノウハウを活かし、新たな事業展開に向けて2004年にMitsui Rail Capital Europe B.V(以下、MRCE)を設立。現在はミュンヘンなどに拠点を構え、約70名の社員が在籍している。2006年にはドイツ・シーメンス社から鉄道車両リース会社を買収。リース・保守・運行管理の先進サービスを提供する会社として、高い市場シェアを誇る。

近年、鉄道輸送は効率性と環境保全の観点からますます注目が高まりつつあり、EUではCO2排出量をトラック輸送対比で8分の1にする鉄道輸送の活性化を推進している。MRCEは現地の鉄道会社や荷主と多数の取引を結ぶほか、EUの政策金融機関である欧州投資銀行から融資を受けるなど現地での評価は高い。また、リース会社でありながら欧州鉄道事業者団体・CER *に加盟するなど、地域に根ざした活動を展開している。
今後も現地企業との交流や地域貢献への姿勢を崩すことなく、三井グループの名を世界に発信するとともに、さらなる飛躍が期待されている事業分野だ。


現地スタッフが活躍する職場風景
経済圏拡大と環境対策を打ち出すEUにおいて、今後ますます鉄道車両リースの需要が高まると考えられる。MRCEは、従来アメリカで培ってきたノウハウをヨーロッパで活かしている好例で、まだまだ事業が広がっていく可能性を秘めている。
* The Community of European Railway and Infrastructure Companies 欧州鉄道共同体
サントリーホールディングス株式会社
Suntory Holdings Limited
ヨーロッパで花ひらく、日欧協働の事業展開
日本の老舗飲料メーカー・サントリーホールディングス。ヨーロッパでは各地でウイスキー蒸溜所、ワイナリーや飲料メーカーを経営、ホップ生産農家への支援などを実施している
日欧をつなぐ、サントリーの事業展開
1899年の創業以来、サントリーは常に時代の先を行く事業を展開してきた。1924年には京都郊外に日本初のウイスキー蒸溜所・山崎蒸溜所を竣工し、5年後には日本初の本格ウイスキーを発売。それから80余年、現在では、「山崎」「白州」「響」は世界的に名高いウイスキーブランドとして成長しつつあり、ヨーロッパでも販売されて好評を博している。

欧州でのロングセラー「オレンジーナ」
2010年11月には、世界的酒類コンペティション「第15回インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ(International Spirits Challenge)」で、「山崎1984」が日本企業で初となる最高賞を受賞した。また同月フランスにて“The Art of Japanese Whisky and Cocktails”を開催。サントリーウイスキーの品質や魅力を、芸術の都パリで広く紹介した。その他、スコットランドではボウモア、ラフロイグの蒸溜所、フランスでは清涼飲料メーカーであるオレンジーナ・シュウェップス・グループ、ワインの名門シャトーラグランジュを経営するなど、ヨーロッパにおいて積極的な事業展開を図っている。

世界的コンペティション「ISC」にて「山崎1984」が最高賞を受賞

パリで開催された「The Art of Japanese Whisky and Cocktails」会場の様子
また、ヨーロッパではホップ生産農家への支援も推進。主力製品である「ザ・プレミアム・モルツ」は、ホップの一部にチェコ産の高級品種「ザーツ種」を使用しており、2009年から、資金提供などによる生産農家支援活動を行っている。
“ジャパニーズ・ウイスキー”の品質は世界的に評価が高まっている。フランスのウイスキー市場はヨーロッパ第一位を誇る。ウイスキーのふるさとであるイギリスとこのフランスで、「山崎」「白州」「響」のブランド価値を高めていけるかがこれからの課題だ。







