三井の特集

三井広報委員会
活動紹介パンフレット (4.4MB)
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未来へつなぐ 地域の元気を日本の元気に

大都市圏への人口流出が続き、さらには少子高齢化が叫ばれて久しい昨今。解決しなければならない課題のひとつとして、地域活性化が再び注目を集めています。三井各社の取り組みのなかに、日本の元気を促すヒントを探ります。

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東レ経営研究所・増田さんに聞く
地域活性化の現状と未来への展望

本格的に動くべき時

―最近、日本では以前から課題とされてきた地域活性化が再び注目を集めています。そもそも、なぜ地域活性化が課題となっているのか教えてください。

地方圏から大都市圏への人口流出が続いた結果、地域経済が低迷し、自治体としての機能維持が困難になる例が増えているからです。地方経済は雇用創出力の弱い1次・2次産業のウエイトが高く、仕事が少ないことが人口流出の大きな理由のひとつです。民間有識者で設立された「日本創成会議」の人口減少問題検討分科会の調査では、今後30年間で消滅の恐れがある市区町村が896にも上ると予測されています。政府、企業、地域がこれまで継続して行ってきた地域活性化に対する活動を、いよいよ本腰を入れて取り組むべき時期に差しかかっていると言えるでしょう。

―過去、政府や地域がこれまで取り組んできた方策にはどのようなものがあったのでしょうか。

代表的なものとして「企業誘致」が挙げられます。地域に企業の工場や研究所、本社機能などを誘致することにより、地域経済の活性化と雇用創出を図ってきました。しかし、国際競争が激化するなか、企業は国内よりも人件費が安く、より重要な市場である海外への立地を選ぶ傾向が強まりました。また、公共事業の実施による地域経済の活性化も図られてきました。

しかし、今の日本の財政状況のもとでは、国の財政だけに頼らない、地域主導の内発的な発展を促す方策がより重要となってきています。

カギを握るのは就業機会増加とインバウンド

―地域活性化を実現するために必要なこととは何なのでしょうか。またそれに向かって、政府、企業、地域はそれぞれどのような取り組みを行っていくべきでしょうか。

定住人口と交流人口の増加です。まず定住人口を増やすには、就業機会の増加が不可欠です。そのためには、新産業を育てると同時に、地域にすでにある就業機会を見つめ直し、その魅力を若年層に伝えていくことも必要です。たとえば札幌市では、自治体が就職前の高校生を対象に地域の企業の工場見学ツアーを実施し、3Kのイメージを払拭させることで、地元にも魅力ある職場があることを再発見してもらっています。一方、企業はこれまでCSR(Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任)の一環として、本業外の地域貢献活動に取り組むことで、少なからず地域活性化の一翼を担ってきました。しかし今は、企業の地域との関わりにおいて、「CSV」(Creating Shared Value:共通価値の創造)という考え方が求められる時代になってきました。これは、企業が本業として地域における社会的課題を解決する事業を推進していくという考え方です。政府は、この両者をつなぐサポート役として機能すべきでしょう。

交流人口については、インバウンド需要にその可能性を見出すことができます。数年前から国土交通省が推進してきた訪日旅行促進のための「ビジット・ジャパン事業」やビザ緩和の影響もあり、ここ最近日本への観光客が急増しています。2014年10月からは訪日外国人観光客に対する「全品免税」も導入され、強力な追い風が吹いています。この機を逃さぬよう、地域の魅力を再発見し、外国人に積極的にアピールしていくべきでしょう。また、6次産業化を推進し、外国人富裕層向けに高付加価値な商品を提供するというのもひとつの手です。

―では、最後に三井グループに期待すること、私たち一人ひとりができることや持っておくべき意識などがあれば教えてください。

三井グループ各社のなかには、すでにCSR、CSVに取り組んでいる企業が数多くあると思いますので、これからもその動きを継続していっていただきたいですね。また、従業員の皆さんにも、地域の活性化や社会的課題解決についての新たな可能性を模索していただきたいと思います。地元の方よりも、第三者的な目をお持ちである皆さんの方が、地域の隠れた魅力を発見したり、地域を元気にする斬新なアイデアを思いついたりしやすいものです。社会の持続的発展を使命として、新しいビジネスを生み出していっていただけることを期待しています。

写真

東レ経営研究所
産業経済調査部門長
チーフエコノミスト
増田 貴司(ますだ たかし)さん

京都大学経済学部卒。日本債券信用銀行経済調査課長などを経て、2000年に東レ経営研究所入社。14年より現職。
東レ経営研究所
http://www.tbr.co.jp/

Column
CSRとCSV

CSVを提唱したマイケル・E・ポーターが「戦略的CSR」と呼称するように、CSVはCSRの一部と考えられている。CSRは、企業の事業活動が社会に与えるあらゆる影響を考慮し、社会とともに発展していくための責任を果たさなければならないという概念や活動を指す。そのため、CSR活動では直接的に利益につながらない地域貢献活動などへの取り組みが多い。しかし、「社会とともに発展」という観点から見れば、事業活動それ自体も利益追求とともに社会問題の解決にもつながっていなければならない、とするのがCSVの考え方。企業が永続的に発展を遂げていくための事業戦略にはCSVが欠かせないとし、企業が社会に果たす責任のあり方として、近年注目されている。