三井の特集

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企業探訪

三井造船

「造船」から「E&S」へ
次の100年に新たな船出

大正6年(1917)に創業し、2017年11月に100周年を迎える三井造船。100年のものづくりで培った技術力を、「環境・エネルギー」、「海上物流・輸送」、「社会・産業インフラ」の事業領域に結集し、次の100年へと船出する同社の未来について、田中孝雄社長にインタビューした。

多くの危機を乗り越え100周年を迎える

昭和27年(1952)の玉工場
(現在の岡山県玉野事業所)

三井造船は大正6年(1917)、旧三井物産造船部として岡山県児島郡日比町(現玉野市)の地で創業した。時はまさに第一次世界大戦のまっただ中で、日本もイギリス、フランス、ロシアを中心とする連合国側に立って参戦しており、主たる業務は新造船を手掛けることではなく、戦火で傷んだ船舶の修繕であった。戦後は不況で赤字が続き、企業としての存続が危ぶまれた時期もあったが、地元の基幹産業を救いたいという市民による署名活動が行われるなどして危機を乗り越えてきた。第二次世界大戦後は世界的な造船ブームが起き、日本が世界一の造船国となっていくなか、三井造船もその一翼を担い、成長を続ける。その後、オイルショック、バブル経済の崩壊などいくつもの危機を乗り越えながら事業を継続し、2017年11月、創業100周年を迎える。

大正6年(1917)に進水した第1船「海正丸」

近年は造船関連が約半分を占めていた事業構造の改革に着手。船づくりで培った高度な技術を活用し、マリンエンジニアリング事業の多角化を進めてきた。国内トップシェアを誇る船舶用ディーゼルエンジンの製造をはじめ、港湾クレーンや各種プラント・エネルギー関連施設のEPC(設計・調達・建設)、排他的経済水域(EEZ)でのメタンハイドレートなどの開発、グループ会社の三井海洋開発が手がけるFPSO(浮体式海洋石油・ガス生産設備)など、事業は多岐にわたる。事業ポートフォリオの変革が進むなか、2017年5月、三井造船は2018年に予定される持株会社体制への移行に向けて分割準備会社を設立。持株会社の社名は「三井E&Sホールディングス」とし、社内改革に取り組む。

「環境・エネルギー」、「海上物流・輸送」、「社会・産業インフラ」を事業ドメインに

同社の田中孝雄社長は、今後の事業展開についてこのように話す。

「2016年2月に、2025年に向けての長期ビジョンを策定しました。我々が持つリソースのなかで、環境・エネルギー、海上物流・輸送、社会・産業インフラ、この3つをドメインにビジネスを展開していきます。市場で求められるニーズや社会的な課題に対応するソリューションを提供し、かつ成長性と収益の安定性を確保していかなければなりません。これまでは、自分たちの考えていたシーズ先行の売り切り型のビジネスでしたが、ライフサイクルやアフターサービス、事業投資も含めてのビジネスモデルへと変革していきます」

また、ホールディングス化することの意図について、「当社の良いところは、真面目で誠実であることです。その一方で現状に甘んじている状況もある。これまでの護送船団方式で、どこかの業績は悪くても他でカバーして生き延びる、というやり方ではもう成長は望めません。国内市場での需要がこれ以上見込めないなかで海外で事業を展開していくときに、もっと危機感を持っていなければ競合他社と戦ってはいけない。そういった意味で、企業風土そのものを変えていく必要があると感じています。各事業が個々にバランスシートを意識するような経営体質にしていかなければならない。短期的な損益だけではなく、長期的に必要な事業への投資なども含めて素早い決定ができる、スピード感が求められているのです」と語り、そして、もうひとつの狙いとして、「高い視点から見えていない」という経営体制の課題に対し、「経営戦略においてリソースをどのように配分すればいいか、俯瞰してみる機能が必要だという点も、持株会社制に移行する理由です」と加えた。

次の100年へ“E&S”の名で船出する

船舶用大型ディーゼルエンジン

船舶用大型ディーゼルエンジン。長さ21.489m、幅5.38m、高さ16.64m、質量2,210tという巨大さで、大型コンテナ船などに搭載される

ホールディングス会社の社名“E&S”について、田中社長は「造船事業だけではなく、他の事業も含めた集合体としてやっていこうということで決めたものです。またE&Sには、エンジニアリング・シップビルディングだけでなく、エネルギーや社会インフラ(Social infrastructure)といった意味も含めて、幅広く事業展開していくという意志を表しています」と話す。

三井グループには由緒ある企業が多く、100年を超える企業も少なくない。田中社長はあらためて“三井”の名があることについてこのように話す。

「やはり信用力のある、大きな看板だと思います。どの業界に行ってもその名前が付いているだけで、社会の役に立つ、信頼できる会社であると思っていただける。これまでにも三井グループ内の他企業と一緒にビジネスをしたこともありますし、今後もいろいろな面でご協力を賜りながら、ともに成長していければと思っています」

  • ディーゼルエンジンやガスタービンを搭載した浮体式発電設備(発電バージ)

  • デンマーク子会社が英国に建設したバイオマスプラント

※上記の内容は2017年10月16日時点の情報です。

(三井グループ・コミュニケーション誌『MITSUI Field』vol.36|2017 Autumn より)

■企業プロフィール
ロゴ:三井造船株式会社
社名: 三井造船株式会社
住所: 東京都中央区築地5丁目6番4号
創立: 1917年11月14日
設立: 1937年7月31日
主要事業:船舶・海洋、物流システム、社会インフラ、動力エネルギー、先進機械システム、プラントエンジニアリング、環境・リサイクル、IT・サービス関連
HP:http://www.mes.co.jp/