三井の特集

三井広報委員会
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シリーズ特集 Be Happy! episode1 しあわせの色いろいろ。

2017年のシリーズテーマは“しあわせ”。
人々が探し求める“しあわせ”とは一体何か─
毎号さまざまな角度からアプローチしていく。
まず第1話は「色」をキーワードに、羽ばたいていこう。

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なぜ『青い鳥』は、
「青い鳥」なのか?

しあわせをもたらすという青い鳥を探して、チルチルとミチルの兄妹が夢の世界を旅する『青い鳥』。絵本などで読んだことがある方も多いだろうが、もともとは戯曲として書かれたものだ。作者であるベルギーの作家モーリス・メーテルリンクは、1911年にノーベル文学賞を受賞している。

旅を続ける兄妹は、幾度となく「青い鳥」を手に入れるが、いずれも色が変わってしまったり死んでしまったりしてしまう。結局、2人が旅を諦めて自宅に戻ると、以前から飼っていた鳥が青くなっていることに気づくというこの物語は、“本当のしあわせは身近な場所にある”ことを伝える作品として、世界中で親しまれている。

ところで、なぜ「青い鳥」なのだろうか?

「ブルーな」「青ざめる」など、必ずしもポジティブな印象を与えない青。東京大学小林康夫名誉教授の著書『青の美術史』によれば、古代ギリシャにおける青は「深い夜の色」「死の色」とされていたという。一方で、極めて高価な鉱石・ラピスラズリから顔料を得られるだけで、自然界にはほとんど存在しない青は、長きに渡って貴重な色として扱われ、理想や夢を表すとされてきた。化学的に青が生み出せるようになった現代も、ラピスラズリはパワーストーンとして崇められているし、幸運を呼ぶ蝶と言われるオーストラリアの『ユリシス』、結婚式に伝わる『サムシング・ブルー』など、青は尊いしあわせの象徴としてとらえられている。

ご存知だろうか?実は『青い鳥』の原作では、一度は手に入れた「青い鳥」が逃げ去って幕が下りる。童話や絵本では、このラストシーンが割愛されているケースが多いのだが、この結末をあらためて想うとき、尊さだけではない「“青い”鳥」の理由が垣間見えるような気がする。

その理由について、メーテルリンクはどこにも書き残していない。ただ、羽ばたき飛び去ってしまう存在、いつも目の前に美しく広がっているのに、手に入れることのできない海や空の色―。もしかすると、追い求め、手に入れたと思った途端に見えなくなってしまう、そんなしあわせを表現したのが「青い鳥」だったのかもしれない。

参考文献:『青い鳥』モーリス・メーテルリンク作/毛利孝夫訳(望林堂)、『青の美術史』小林康夫著(平凡社)