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第48次観測隊員として、南極の環境を守る 三機工業株式会社 大嶋 淳さん
三機工業株式会社 大嶋 淳さん
 三機工業は、南極条約(*)に「環境保全議定書」が追加された1991年(平成3年)以来、環境問題に取り組む企業として南極観測に協力。これまでに7人の社員を、環境保全部門の技術者として送りだしています。第48次観測隊には、8人目の派遣隊員(赴任期間は2008年3月まで)として大嶋淳さんが参加。
 11月28日の南極への出発を前に、南極観測への意気込みをうかがいました。
南極観測を環境面からサポート
 南極観測には、入社した時から行きたいと思っていたので、声がかかったときは本当にうれしかったです。昨年12月に「南極に行く意思がありますか」という上司からのメールを受け取ったときは、返信のキーを打つ手が震えていたのを覚えています。子供が一歳になる前だったので妻には反対されると思っていましたが、「なかなかないチャンスだから挑戦してください」と言ってくれました。
 主な仕事は、ゴミ焼却設備や三機工業で納入した汚水処理設備の運転管理および保守点検・改善業務です。これまでに培ってきた技術やノウハウが生かせる一方で、国内では想定できない制限や課題もあります。たとえば毎日焼却しないとゴミ集積所が溜まる一方ですが、気象観測に影響があるので、風向きによって今日は焼却しないでくれと言われたり、ブリザード(大吹雪)の時は焼却棟まで行けなかったりで、1カ月のうち10日ぐらいしか焼却できない時期もあるとか。また、汚水の搬送配管は屋外にあるのですが、凍らせないで搬送するよう管理していくことが求められます。そういった極限の地ならではの問題をどう改善するかも、今回のテーマのひとつです。
仕事のあいまに南極海でフィッシング?!
 この他に、専門外の作業に借り出されることも多くあります。特に夏の間は、道路の建設、古くなった倉庫の建て直し、ヘリポートの整備など、その時期しかできない作業がたくさんあるので全員参加です。お医者さんは調合がうまいからコンクリートを練るとか(笑)。私も今、クレーンやブルドーザーなど重機操作の研修を受けています。夏の約2カ月間は白夜なので、明るいうちは働くって感じで、かなりハードなようです。
 不安はないと言ったら嘘になりますが、社内に経験者の先輩がいるので心強いですね。ささいなことですが、船の中ではパソコンの滑り止めがあるといいとか、ホコリが多く紫外線が強いから、きっちりカバーできるサングラスが必要だといった、経験者にしかわからないアドバイスがもらえます。調理師も同行していますが、酒席のおつまみなどは、当番で交代交代に作るので、レシピがあるといいとも言われました。
 楽しみにしているのは釣りです。過去、南極で釣りをしたという隊員に聞くと、昭和基地から氷の上を2キロぐらい歩くと、深さ600〜700メートルのポイントに行けて、深海魚などの大物がとれるかもしれないとのこと。いい気分転換になりそうです。付け加えますが、これはあくまでも生物調査です。(笑)
地道な観測が大きな発見につながる
 今年は南極観測が始まって50周年ですが、継続することに意義があると思っています。たとえば日本隊は、毎日風船を飛ばし、オゾンゾンデ観測で収集したデータで、1982年にオゾンホール現象を発見しました。そういう地道な作業の継続が、地球環境の観測にとって重要なんだと思います。
 今回、観測の目玉は、ドームふじ基地で進めている氷床深層掘削が岩盤に到達するかどうか。南極は雪が固まった厚い氷の層に覆われていますが、47次隊が深さ3,028.52メートルまで掘り進んで、氷床コアの採取に成功しています。その中に100万年前の地球環境の情報がタイムカプセルになって入っているんですね。今回の第48次で、その下の岩盤に到達して資料が採取できれば、南極がアフリカとつながっていた3000万年以上前の地球の環境など、さらに多くのことが解明できると期待されています。氷と岩盤の接地面はそこだけ氷が解けて液状になっているので、掘削機械が流される危険性があり、これまで以上に難しいと言われていますが、成功すれば大きなニュースになるでしょう。
 南極は地球環境の影響を一番受けやすい、センサーのようなところ。そういう重要な場所の自然調査にたずさわれるのは、本当に嬉しいです。いろんな経験をして、帰国後の仕事に役立てたいと思っています。
*南極条約:南極地域を各国が利用する場合の原則などを示した条約(1961年発効)
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