三井ゴールデン・グラブ野球教室

三井ゴールデン・グラブ賞

第1回 明治神宮外苑教室 (東京)

野球教室座談会

座談会の様子

2010年3月、少年野球チーム指導者向けにスタートさせた「三井ゴールデン・グラブ野球教室」、その第1回受講者の皆さんによる、水上講師を囲んでの座談会を開催。受講後の子供への向き合い方や指導に対する心構えの変化などをうかがいました。

自信をもって積極的に教えられるようになりました。

三井ゴールデン・グラブ野球教室に参加したきっかけを教えてください。

杉山:非常に面白そうでしたし、指導者としてもいい勉強になるだろうと思い、参加しました。

中西:チームの総監督から「ぜひ出てみないか」と勧められて参加しました。

図子田:今まで指導者向けの講習会を受けたことがなかったので、指導するうえで確認しておきたいこともあり、またスキルアップにもなると思い、応募しました。

岩田:三鷹の野球連盟から連絡をいただき、参加しました。

参加後の感想を聞かせてください。

杉山:元プロ野球選手に教えていただき、プロでも少年野球でも野球の基本というのは変わらないのだなと思いました。

堀向:水上先生が話されていたことで思いましたが、やはり基礎は大切なんだと。私たちが子どもたちにうるさく言ってでもやらなくてはいけない基本的なことは、プロもやっているということがわかり、自分たちの自信になりました。

写真:中西賞一さん

中西賞一さん(都営ヤングコーチ)

中西:参加して本当に良かった点は、自分が子どもたちに教えてきたことと、それほど大きく違っていなかったということを確認できたことです。例えば、ボールを握る時に「必ず3本の指で握りなさい」という話をよく聞きますが、小学校低学年は体も手も小さいので難しい。阿波野先生に「手が小さい場合は4本使っても構わない」と聞き、やはりと思いました。また走塁の面で、ファーストベースを駆け抜ける時に右足からなのか左足からなのか、という話がありましたが、特に子どもは踏み出しの足によって違ってくるので、屋鋪先生から「どちらでもいい」というお話を伺い、自分が思っていたことが間違っていなかったということを確かめられました。

図子田:私は小学校までしか野球をやっていなかったので、今まで本を読んだりコーチ仲間と話をしたりしながら指導していました。今回、トレーニングメニューについては、今やっているものに付け足すメニューを知ることが出来よかったと思います。外野の守備を教えていただきましたが、私は内野手しかやったことがなかったので、かなり勉強になりました。

岩田:私は過去に2回ほどこうした企画に参加したことがありますが、今回、水上先生の講義を聞いて、基本は同じでも教え方は人によって違うのだなと感じました。

実際に指導するうえで教室に参加する前後で変わった点はありますか。

写真:杉山聡さん

杉山聡さん(CCペガサスコーチ)

杉山:バッテリーで、大矢先生に「ファースト、ファースト!」と2回目を特に強く言えば伝わりやすいという声の出し方を教わりました。それからはチームみんながやってくれるようになりました。

堀向:内野の守備で、前に行くことを教えるのは難しいと思っていたのですが、実はすごくシンプルなことがわかりました。それ以来、前に行っているつもりでも横に行ってしまっている子などがわかるようになり、指導の目線が変わりましたね。

中西:うちのチームではコーチたちに変化がありました。水上先生をはじめ、みんなが知っているプロ野球選手の方々に教わってきた事を話すと、やはり全然違います。

図子田:教室の後、参加者と参加しなかったコーチたちが集まって、教えられたことに共通認識を持とうと「コーチ会」を開きました。今まではそれぞれの野球環境によるブレがあり、同じことでも言葉が違うために、子どもたちの認識にズレがありました。そこを「コーチ会」で話し合い、共通認識のもとにやることにしました。

岩田:教室に参加した人が、自信を持って積極的に教えていますね。前はこんなこと言っていいのかなと思っていたことも、今回教えていただいて自信をつけたのではないでしょうか。

水上先生からは何かございますか。

写真:座談会の様子

水上:私から皆さんに伺いたいこともあります。皆さん、どんなことを期待して参加されましたか。 三井ゴールデン・グラブ賞を受賞した元プロ野球選手に、個人的には何を期待して野球教室に参加したかということを伺いたいです。

杉山:やはり名前を聞いただけでも素晴らしい元プロ野球選手の指導者の方たちが集まっていたので、期待はありました。最先端の指導方法をご存じの方たちだと思うので、そういう点を含めての期待ですね。

指導者の子どもを「見る目」が大切になってくる。

皆さんから水上先生に伺いたいことはありますか

岩田:キャッチャーの右手はグローブのところに軽く握って添えろと言う人もいれば、危ないからいけないという人もいます。これはどちらが本当なのでしょうか。

水上:捕ってから早く投げるにはどうしたらいいかという理論だったら、当然手はそばにあった方がいいわけです。ただしそれが突き指とかけが防止ということになるとお勧めできません。

写真:岩田正樹さん

岩田正樹さん(蜂の子ブレーブスコーチ)

岩田:もうひとつ教えていただきたいのは、軟球と硬球を替えるとすると何歳ぐらいがいいのでしょうか。

水上:野手に関しては、私は早く硬式にしても問題ないと思います。私が野手で高校に入った当時は木のバットでまったく飛びませんでしたが、シニアから来た子どもたちは、簡単に木のバットで飛ばせたわけです。2年から金属バットになって、ようやく同じくらい飛ばせるようになったという経験があります。ピッチャーの肩は消耗しますから、できれば中学の間は軟式で高校から硬式という考えもありますし、たとえば松坂(レッドソックス)のように、メジャーで120〜130球投げても平気な肩もありますね。ですから、皆さん方の見る目になってくると思います。

見る目というと……?

水上:プロ野球チームに入団してくる若い選手たちに対して筋肉量などを調べるように、少年野球でも身体測定ができると、この子には1日50球が限度だな、この子は70ぐらい投げさせても大丈夫かな、という考えが皆さんの中に出てくると思います。そうすると子どものためにもなるし、指導者のためにもなる。それを受け継いだ子どもが指導者になったときには、もっと先のことを考えられると思います。そうした意味での「見る目」が大切だと思います。

他に水上先生に聞きたいことはありますか。

写真:図子田政夫さん

図子田政夫さん(四谷フェニックスコーチ)

図子田:うちのチームは普段はダイヤモンドも取れないくらいの狭い場所を使っています。そういう所での練習方法を教えていただけますか。

水上:狭い場所こそ実は練習になる、ということもあります。シートにつかせてノックすると、子どもは一連の流れの中で見てしまいがちですが、本当は前に足を運ぶとか、ポイントで見てほしいところを見ていない可能性があるわけです。それよりも、狭い場所でボールを転がし、それを捕ってしっかりとステップをして、たとえば阿波野さんが言っていた投げ方をしてみる。そうすることで頭の中に記憶されていくわけです。

バッティングについては?

水上:なかなか当てられない子にはペットボトルを持たせて、ボールじゃなくて紙を丸めて投げる。紙は少しの空気抵抗で変化しますから、それに対して引き手でポンと当てさせる。要はモノでモノに当てるという練習ですが、室内だとやりやすいと思います。

岩田:帰塁の際に、頭から戻るということをやらせているコーチがいました。頭から戻れというのは、子どもには危ないですね。

水上:そうですね。大人の我慢が必要になってくる場面があると思います。たとえば足から戻ってアウトになりました、そこで「よし、今のでいいんだぞ」と言わなきゃいけない。頭から戻ったら、セーフでも「今のは危ない」と言い切れなければいけない。そうすれば、間違いなく子どもは頭から戻らなくなるでしょう。基本的に足から戻るので良いと思います。

写真:堀向至さん

堀向至さん(CCペガサスコーチ)

堀向:打撃についてですが、子どもたちが見逃し三振で怒られることがとても多いのです。自分の力を極力出せるようにする方法をどう教えればよいでしょうか。

水上:私の息子がある少年野球チームでお世話になっていて、試合を見ていると、「ストライクだけ打てばいいんだ」と言われると、子どもは「ボールを打っちゃいけない」という思考に変わってしまうんですね。そこで監督たちと話して、子どもがとんでもないボールを振ったときに「よく振ったな」という言い方をしましょう、とんでもないボールを振って三振してゲームセット、でも振ったことをほめてあげましょうと話しました。当時の監督たちは「ボールを振っちゃダメだろう?」という反応でしたが、それは大人の考えなんです。

子どもに「振る気持ち」を持たせる方法は?

水上:まず初球から振らせる。「何でも振れ」ではなく、初球から自分がストライクと思ったら「振っていいんだ」という気持ちで打席に立たせるというのが大事だと思います。

それでは中西さん、皆さんを代表して、今後の要望があればお聞かせください。

中西:もう少し回数を増やしていただければ、もっと参加できる人が多くなると思います。多分、今子どもの野球指導に携わっている監督・コーチたちは、この野球教室が例え有料だったとしても、参加したいという人はたくさんいると思います。

写真:座談会の様子

水上:皆さんのお話を伺って、チームにいいフィードバックをしてくれているなというのをすごく感じます。私たちが間違った方向に教えてはいけない、これからも皆さんが分かりやすく、そして子どもに分かりやすく指導していくことに関して、私たちも勉強していかなければいけないなと思いました。

本日はありがとうございました。

生きる。活かす。いっしょに。三井ヒューマンプロジェクト